皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「まるで、周囲の評価を盾にして、本命を選ぶための口実のように聞こえます。」

アレシオ殿下の顔が、一瞬だけ曇ったように見えた。

でも彼は、何も言わなかった。

黙って、私を見つめていた。

「私には、そんな茶番に参加する理由が見当たりません」

私はドレスの裾を翻し、リディアと共にその場を後にした。

後ろから追いかけてくる足音は、なかった。

けれど、胸の中で、何かが熱を持っていた。

──これはもう、ただの婚約じゃない。

私の“誇り”と“名誉”を賭けた、戦いだ。

その夜。
屋敷に戻ったばかりの私に、予想もしない知らせが舞い込んだ。

「アレシオ皇太子殿下がお見えです!」

──え?

驚きに身体が強張った。

それは夢でも幻でもなかった。

まさか皇太子殿下が、自ら屋敷に足を運ばれるなんて。

「アレシオ殿下!」

お父様とお母様は慌てて正装に着替え、応接間に殿下を迎え入れた。

私も急いで身なりを整え、控えめにその場に現れた。
< 20 / 234 >

この作品をシェア

pagetop