皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「“政略より恋愛を”って……ああ、兄上は革命児だよ。まったく。」

そしてアシュトン殿下は、ちらりと私の方を見た。

「でもまあ、兄上があれだけ惚れ込む人だ。僕だって納得してるよ、セラフィーヌ殿下。」

「えっ……?」

「もう“殿下”って呼ばれてもおかしくないじゃないか。」

頬が一気に熱くなる。

アレシオ殿下が、誇らしげに私の手を取った。

「その通りだ。セラフィーヌは、もう俺の誇りだよ。」

彼の横顔が、夕日を受けて金色に輝いていた。

──この瞬間、私はこの人の隣で生きる未来を、心から誇らしく思った。

私は何気なく、ふと気になっていたことを口にした。

「アシュトン殿下は、どなたか想う方がいらして?」

するとアレシオ殿下は、紅茶を口に運びかけた手を止めた。

「……その話、誰にも言わないと約束してくれる?」

「もちろんです。」

私がそう答えると、殿下は周囲を気にするように左右を見渡し、声を潜めた。
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