皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「セラフィーヌもそうだったわ。あの子は“選ばれるため”にここに来たのではない。アレシオに心を開き、愛し合い、支え合って、未来を選び取ったの。」

王妃の言葉は、そっとケイシーとアシュトンを包むように優しかった。

「時代は変わりつつあるわ。――その最初の風になったのが、あなたたちなのよ。」

ケイシーが唇を噛みしめながら、小さく頷いた。

「私……何があっても、この手を離しません。」

「俺も。君と共に歩む未来を、誰にも否定させない。」

アシュトン殿下の言葉に、王妃は穏やかに微笑んだ。

「――ならば、堂々としなさいな。愛する人を守る覚悟があるなら、恥じることなど一つもないわ。」

その場の空気が、ふんわりと温かさに包まれた。

王妃の目が優しく細められる。

「さあ、そろそろ戻りましょう。……あまりにも美しい光景に、つい長居してしまったわ。」

< 218 / 234 >

この作品をシェア

pagetop