皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「品位、美しさ……そして、にじみ出る聡明さ。君は、それら全てを備えていた。」

彼の言葉は、ひとつひとつが胸に突き刺さるようで。

「そんな事……誰にも言われたこと、ありません。」

「それが不思議なくらいだ。」

アレシオ殿下は、優しく笑う。

「君のような女性が、俺を選んでくれるなら……俺は、きっと一人の男として、自信に溢れると思った。」

──なぜ、そんな言葉を今。

私は混乱していた。

嬉しい。けれど信じてはいけない。

だって彼は、エミリアにも手を取って「嬉しい」と言った人。

「……それは、私だけに言われている言葉でしょうか?」

そう問いかけた私に、アレシオ殿下はすっと目を伏せる。

「信じないというのなら、それでも構わない。だが──これは、俺の本心だ。」

アレシオ殿下はそう言い残すと、すっと立ち上がった。

私は、応接間の椅子に座ったまま、ただ殿下の背中を見つめていた。
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