皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
父がぽつりと呟く横で、私は無意識に胸元を押さえていた。

まるで、そこに熱がこもっているかのように。

本心? それとも、ただの気まぐれ?

──けれど確かに。
私の胸の奥で、小さな灯が点った気がした。

そして──その夜。

夕食後のサロンに戻ると、珍しく父がにやついた顔で待っていた。

「セレフィーヌ。これはもう、おまえに決まったようなものだぞ。」

「えっ……?」

父は椅子から立ち上がると、そわそわと落ち着かず、部屋をうろうろと歩き始めた。

「アレシオ殿下が言ったのだ。“君に選ばれたい”と。あれは、男にとって、最大級の告白だぞ!」

「……そう、なのでしょうか」

「そうに決まってるだろうが!」

父の語気が急に強くなる。

「いいか、セレフィーヌ。男というのはな、見た目や家柄や地位だけで動くように見えて、最後は“心”に動かされるものなんだ。」
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