皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
彼女の視線の先には、まだ広間に残るエミリアの後ろ姿があった。

背筋を伸ばし、堂々とした姿。

「もちろん、経済事情もあるだろうけど。でも家庭って、最初に愛されなかった子供ほど、後々まで苦しむのよね。彼女……根本的なことを、ちゃんと知ってたんだわ。」

私は何も言えなかった。

それは、きっと私自身が一番痛感していたから。

数字を重ねることにばかり意識が向いていた私には、きっと辿り着けなかった視点。

誰かの“心”に寄り添う答え。

それがあの回答の重みだったのだと、今になってようやく分かった気がした。

「……でも、私たちは間違ったことを書いたわけじゃない。」

そう、最後にリディアが言ってくれた。

「王妃に必要なのは、正しさだけじゃない。想いがあっても、それを実現する力がなければ意味がないでしょ?」

その言葉に、私は小さく頷いた。
< 43 / 234 >

この作品をシェア

pagetop