皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「セレフィーヌ嬢は、ダンスは得意かな?」

静かにかけられた声に、私は少しだけ目を見開いた。

「はい。実技の中では、一番得意でした」

自信というよりも、それはこれまでの努力の結果だった。

数え切れないほどの時間を踊りに費やした。

それが、ようやく役に立つ時が来たのだと、胸の内に灯がともる。

アレシオ殿下が、ふっと微笑んだ。

「それはよかった。第2試験は、ダンス実技だから」

「……!」

一瞬、耳を疑った。だって、その内容は、まだ誰にも知らされていない。

「今から練習しておくといい。貴族らしい所作だけでなく、音楽に対する感性、空間の読み方、そして礼儀作法。すべてを見る予定だ」

私は不思議な気分になった。

「それを今……私に言ってもよかったんですか?」

試験に関する情報を、参加者に漏らすこと──公平であろうとするなら、本来なら避けるべき行為だ。
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