皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
他の参加者たちは、まだ合否すら知らされていない。第2試験の内容など、知るはずもないのに。

アレシオ殿下は、少しだけ首を傾げて微笑んだ。

「筆記試験が一番だった君が、第2試験に進めないわけがないだろう?」

その言葉に、胸が少し熱くなった。

成績が優秀だから──それだけの理由なのだろうか。

それとも……

私に、期待してくれているから?

「アレシオ殿下は……もし私が最終的にお妃に決まったら……」

声が震える。胸の奥が、じんわりと痛んでいた。

「私と、結婚してくれますか?」

しん、と雨の音だけが響いた。

何も返事が来ない。

静かな沈黙が、私の中に不安の波を広げる。

そっと顔を上げると、そこには──真っ直ぐ私を見つめるアレシオ殿下がいた。

「アレシオ殿下……」

その瞬間、彼は自分のマントを脱ぎ、そっと私の頭の上にかけてくれた。

「雨が強くなってきた。これなら濡れないだろう。」
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