皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
声がわずかに震えていたことに、自分でも気づいた。

彼の視線は、私の奥までは見ていない。

私の想いも、努力も、十八年かけて作り上げたすべても──

まだ、彼には届いていないのだ。

「故に、お二人には私から、ご説明すべきだと考えていました」

アレシオ殿下は、一歩進み出て、丁寧に頭を下げた。

その姿勢には、皇太子としての品格と誠実さがあった。

「まず、公募制にした理由ですが──」

少し言い淀んだあと、はっきりとした声で続ける。

「決して、セレフィーヌ嬢が気に入らないとか、嫌いだということではありません。」

父が、表情を険しくして半歩前へ出る。

「ではなぜだ? 王家と我が家の関係は、かつてより堅固であったはずだが?」

アレシオ殿下は、真っ直ぐに父を見返した。

「もちろん、それは今も変わりません。ですが──この国には、礼儀・教養・慈愛を備えた貴族令嬢が何十人もおります。」
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