皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
彼女はそう言いながら、手のひらを胸の前でぴたりと合わせ、うっとりとした声で続けた。

「でも、アレシオ殿下って──情熱的よね。」

「……えっ?」

私は思わず目を見開く。

あの冷たく無表情で、どこか人を突き放すような態度のアレシオ殿下が……情熱的?

「背も高くて、端正な顔立ちに、あの金髪でしょう? それでいて、言葉の端々に誠実さがにじみ出てるの。ああ、誰しもが夫にしたいと思うはずだわ」

うっとりと語るリディアの様子に、私は曖昧な笑みを返すしかなかった。

──私が知っているアレシオ殿下と、リディアが見ている殿下は、少し違う。

けれど、たしかに。

私もあの夜、ほんのひとときだけ──殿下の情熱に、触れたような気がしていた。

「でも、第2試験はダンスでしょう? もうエミリアは合格したも同然ね!」

リディアは満面の笑みで、子どものようにはしゃいでいた。


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