皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
けれど──次に返ってきた言葉は、思いもよらぬものだった。

「あなたは、皇太子妃に選ばれるのは、自分だと思っている?」

その問いは鋭く、どこまでも率直で、容赦がなかった。

「……いいえ。」

嘘ではなかった。
本心から、そう思っている。
私はまだ、ただの候補の一人に過ぎない。

「そう。……誰もがそう答えるわよね。」

マリアンヌ皇女はふっと微笑んだ。けれどその笑みは、どこか哀しみを湛えていた。

「でもね──本来、皇太子の伴侶は、王族から選ばれるべきなのよ。」

その言葉が、胸に鋭く突き刺さった。

正論だった。伝統も、格式も、私には到底及ばない。

思わず私は、手をぎゅっと握りしめた。

けれど同時に、あの夜のアレシオ殿下の言葉と眼差しが蘇る。

(筆記試験が一番だった君が、第2試験に行けないわけないだろう……)

私を見てくれた人がいた。
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