皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
なら、私はこの試験に立つ資格がある。

「……分かっています。けれど、選ばれるのは“心”だと信じたい。」

その言葉は、自分自身を奮い立たせるように、自然と口をついて出た。

マリアンヌ皇女の表情が、かすかに動いた。

その瞳には、意外にも敵意ではなく──静かな光が宿っていた。

「あなたは、アレシオ殿下を──どう思っているの?」

それは突然の問いだった。

けれど、その声には一切の揺らぎがなかった。

「……どう、とは……?」

私が返すと、マリアンヌ皇女はまっすぐに私を見据えたまま、静かに言った。

「私は、以前から──アレシオ殿下のことをお慕いしています。」

私は息を呑む。

「皇太子妃の座を、王族以外に譲るつもりはないわ。……それ以上に、アレシオ殿下を他の女性と結婚させたくない。」

その告白は、宣戦布告にも近いものだった。

けれど、そこに敵意はなかった。

あるのはただ、誇りと、愛と、そして本気の覚悟だけだった。
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