皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
誰よりも冷静で、誰よりも自分の立ち位置を理解していた彼女。

でも、それでもなお諦めずに応募して、見事に第一試験を突破し、第二試験まで進んだ。

それがどれほど勇気のいることか、私にはよくわかる。

──自分でも“妃になれない”とわかっていたかもしれない。

でも、それでも挑んだ。

最後まで真っすぐに、自分の意志で進んだ。

それだけで、十分すぎるほどに、誇らしいことだ。

「ありがとう、セレフィーヌ。……でも、泣かないでね。」

リディアの冗談めいた囁きに、私はふっと笑った。

「泣いてなんか……ないわよ。」

でも、本当は少しだけ、泣きそうだった。

彼女の温かさと、その強さが、心に深く沁みたから──

結果を聞きに参加していた貴族たちは、余韻を残したまま、それぞれの馬車へと乗り込んでいった。

名残惜しげに笑い合う者。興奮気味に感想を語る者。

それぞれが華やかな夜に満足しながら、帰路につく。
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