皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「……はい」

私の返事は、わずかに震えていたと思う。

だけど、どうしても視線を逸らすことはできなかった。

殿下は、静かに、けれど確かに微笑んでいた。

「君がもし、“俺の妃になりたい”というのであれば──応募して欲しい。」

言葉の意味を理解するのに、数秒かかった。

──応募? 私が?

まるで、私の意思を試すようなその言葉に、思考が一瞬止まった。

ずっと“選ばれる側”だと信じていたのに。

私は“選びに来い”と──そう言われたのだ。

そんなの、考えたこともなかった。

「……それは、私に意思があるかを、問うていらっしゃるのですか。」

「そうだ。俺は、誰であれ“志を持って妃になろうとする者”を尊重したいと思っている。」

殿下の声は、柔らかくも凛としていた。

「もし君が、賢明で慈愛に満ち、皇太子妃としての品位が周囲に認められれば──自然に、俺の妃に選ばれるだろう。」
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