皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
足音だけが響く中、その先にある重厚な扉が徐々に近づいてくる。

これまで何度も遠目に見てきた執務室の扉――まさか自分が、あの中に入る日が来るなんて。

試験官がその立派なドアに手をかけ、重々しく開いた。

「失礼いたします」

中に広がるのは、想像以上に張り詰めた空気だった。

2、3人の執務官が黙々と書類に目を通し、時折何かを確認し合っている。

これは“演出”などではない。彼らは本当に働いているのだと、肌で感じる。

一歩、また一歩。

まるで空気が重くなるような感覚に包まれながら、私は室内へと足を踏み入れた。

「セラフィーヌ」

名を呼ばれ、思わず胸が跳ねた。

その声の主はもちろん、アレシオ殿下。

私を見つめる真剣な眼差しに、心臓が高鳴る。

「呼んだのは、他でもない。執務を手伝ってもらうためだ。」

その言葉に、はっとする。もう試験は始まっている。
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