皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
甘えや容赦はない。

これは、未来の皇太子妃としての資質を見極める本番なのだ。

背筋を伸ばしながら、私は小さく息を吸い込んだ。

逃げてはいけない。今この瞬間から、私の真価が試されるのだから。

「はい、お力になれるのでしたら。」

私は一歩進み、アレシオ殿下の前に立った。

殿下の瞳はまっすぐ私を見据えている。

その視線に応えるように、背筋を伸ばす。

「相談したいのは、福祉の件だ。」

その言葉に、胸がどくんと高鳴った。

――まさか。第一試験で私が記述した“この国に必要なものは福祉の充実”という答え。

それが、今ここで問われようとしているのだろうか。

「君は、この国の孤児院を知っているか?」

「はい。王都には東・西・南・北、そして中央……計五か所あります」

緊張で喉が渇いていたけれど、言葉は淀まずに出てきた。

これは知識を問われているのではない。
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