皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
がどれだけこの国に目を向けているか、どれだけ心を込めて考えているか――その真意を測られているのだ。

「ほう。」

アレシオ殿下の表情が少し和らいだように見えた。

けれど、油断はできない。これからが本題なのだろう。

私は心の中で深く息を吸った。

一つひとつの言葉が、未来に繋がっていく。

「君はこの数を、多いとみるか、少ないと見るか。」

アレシオ殿下が静かに問う。私は迷いなく答えた。

「少ないと存じます。」

はっきりと言い切った私に、殿下はさらに問いを重ねる。

「だが、孤児院に人が溢れているという報告はあがってきていない。孤児自体、多くはないのではないか?」

その論理は正しいように聞こえる。でも、現実は違う。

「孤児院に溢れていなくても、街には孤児がたくさんいます」

私は、これまでに見た光景を思い出す。

寒空の下、薄汚れた服で物乞いをしていた子どもたち。

誰にも声をかけられず、ただ存在しているだけの小さな命。
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