皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「孤児院の存在が、皆に知られていないのだと思います。あるいは、知られていても行き方が分からない。制度が不十分で、届くべき手が届いていないのです。」

アレシオ殿下の目が、少し細められた。

私の言葉に何かを感じ取ったのだろうか。

息を潜めるような静けさの中、私は心の奥から声を絞り出した。

「保護されるべき子どもたちが、まだ救われていない。それは、数では測れない問題です。」

「ではなぜ、孤児院がそんなに皆に知られていないのか」

アレシオ殿下の問いに、私は言葉を失った。答えは浮かんでいる。でも、それを言っていいのか──。

「それは……」

声が震える。殿下は静かに問いを重ねる。

「どうした?なぜか分からないのか?」

逃げては駄目だ。私はこの試験に、命を懸ける覚悟で臨んだのだから。

「……王宮が、孤児院の制度を皆に伝えてはいないからだと思います。」
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