売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
本当はクライブと一緒に歩く場所は、どこでも素敵なんだけど。

しばらく歩くと、庭園の中央にベンチがあった。

「クラディア。ここに。」

クライブが私をエスコートして、庭園の真ん中のベンチの前に、私を立たせた。

「どうしたの?」「ん?」

クライブはどこか、ソワソワしていた。

「緊張している?……ク、クライブ?」

「俺さ、プロポーズなんて、人生で一度しかするつもりなかったんだ。」

夜空の下で見上げてくるクライブの瞳は、真剣そのものだった。

「その一度を、君に捧げたかった。」

胸が高鳴る。まさか、こんな場所で、こんな風に──

クライブは、懐から小さなベルベットの箱を取り出した。

ぱちん、と控えめな音と共に蓋が開く。そこには、深紅のルビーが光を湛えていた。

「君が刺してくれた、赤い薔薇のベッドカバー。あれを見た時、思ったんだ。この赤は、情熱の色。決意の色。そして──俺の心の色だって。」
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