売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
思わず吹き出しそうになったけれど、クライブは真剣な顔を崩さない。

「君を抱くと、どんな疲れも癒される。」

だったら、最初からそう言えばいいのに。

でも、目の前の彼は──この屋敷で、私のために一生懸命働き、そして夜になれば、誰よりも私を欲しがってくれる。

「俺は……君を抱かずにはいられないんだ。」

その言葉と同時に、深く重なっていく。

指先は確かに、私の輪郭をなぞっていて、けれど彼の心は、もっと深い場所で私を求めているようだった。

「……ああ」

私の吐息が、彼の胸にかすかに触れる。

こんなにも愛されている──

それを実感するたびに、甘美な夜がまたひとつ、重なっていく。

毎晩のように繰り返される熱と優しさの中で、私は少しずつ、伯爵ではなく「ひとりの女」として、クライブに溶かされていった。

そして──それは、行為が終わった後も続いていた。

汗ばむ肌と肌を重ねたまま、クライブは私の髪を、まるで壊れ物を扱うようにそっと撫でる。

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