売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「夢みたいだ……」

ぽつりと、呟いたその声には、深い安堵と、長い想いの果てにようやく触れられた幸福が滲んでいた。

「初めて君に会った時、俺の中に、何か灯るのを感じたんだ。心に……灯りがついたようだった。」

私はクライブの胸に、そっと唇を押し当てた。

「君が試されると聞いた時、俺は……他の誰かに君を抱かれるかもしれない、そう思っただけで耐えられなかった。」

その低く絞り出すような声に、胸が熱くなる。

「そうでなければ……あんな役目、果たせるわけないわ。」

試練の一つであった“選定の儀”──
その内容は、あまりに非情で残酷で。

ただそれでも、クライブが隣にいたから、私は耐えられた。

「不思議だったよ。君を抱いた瞬間、身体じゃない……心が震えたんだ。強く。深く。」

私の頬にそっと触れる指が、震えていた。

その手を、私は自分の両手で包む。

「クライブ……」

もう言葉なんていらなかった。

私たちはただ、寄り添いながら、互いの体温に生きていることを感じていた。
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