売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
翌朝──
目が覚めた瞬間、私は猛烈な吐き気に襲われた。

「うっ……」

慌てて洗面台に駆け込み、何度か嘔吐く。胃の中は空なのに、気分は悪いままだった。

「クラディア?」

心配そうな声とともに、クライブが入ってきた。手には薬と水の入ったグラスを持っている。

「悪い物でも食べたのか? 無理はするなよ。これ、薬……」

私はその手を、そっと押し戻した。

「……いらないわ。」

「無理しなくてもいいんだぞ。何も、苦しむことは……ないんだから」

彼の優しさが、かえって胸に刺さった。

「……月のモノが……来てないの」

その言葉を聞いた瞬間、クライブの手から薬が滑り落ち、床に音を立てて転がった。

「……クラディア……」

呆然としたように、彼は私を見つめる。

「どうしよう……」

ベッドに座ったまま、私は膝を抱え込んだ。

「結婚する前に……赤ちゃんができていたら……」
< 126 / 158 >

この作品をシェア

pagetop