売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
その時だった。

先ほど900を提示した中央の男が、ふいに手を上げた。

「異議あり。……転売の恐れがある」

──……え?

一瞬、何を言われたのか理解できなかった。
“転売”? 人を? 私を……?

脳裏に浮かぶのは、さっきからニヤついている男たちの顔。

そして今この場で、値を付けられている自分。

──私はまた……誰かに、売られるの……?

「この女は、二十歳だろ。オーセント公爵には若すぎる。」

若すぎる……
つまり、抱けない? 老いた身体では──?

「……いくつの女でも、金を出すんだ。いいだろう。」

淡々と返すその声に、場の空気がピリッと緊張した。

言葉に詰まる男たち。

誰も、1000より高い札を出す者はいない。

「ええ……他の旦那様は、1000よりも高い値段は……?」

進行役の声も、どこか歯切れが悪い。

場の雰囲気が、明らかにざわついている。
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