売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「もし妊娠しているのなら、小さな袋──胎嚢が見えるはずなんですが、特に見受けられません。」

淡々とした説明が、心に重くのしかかる。

クライブがくれたベビー服が頭をよぎった。

あんなに嬉しそうにしてくれていたのに──。

「……あの、小さすぎてまだ見えない、という可能性はありますか?」

なんとか希望にすがるように尋ねた。

医師は腕を組み、深いため息をつく。

「月経が止まって2か月……でしたね。」

「はい……」私は俯きながら答えた。

「通常であれば、何らかの兆候があるはずです。けれど……うーん……」

医師は何度も「うーん」と唸って、ようやく目を上げた。

「……もう少し、様子を見ましょうか。あと一、二週間ほどで何かしらはっきりするはずです。」

私は小さく頷いた。

クライブは私の手をそっと握ってくれる。

けれど、その優しさが、今は少しだけ切なく感じた。

「……ごめんね、クライブ。」
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