売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
その時、私の手を包む大きな温もりがあった。

クライブが、強く、けれども優しく私の手を握ってくれている。

「……できません。」

彼の声が低く、震えていた。

「クラディアを一人にするなんて、俺にはできません。」

「クライブ……おまえまで失いたくないんだ……」

お父様の声は、まるで涙を堪えているようだった。

この人にとって、クライブはただの息子ではなく、未来を託す跡取りで、

それ以上に、家族として大切な存在なのだ。

「今は……父の言うことを聞いてくれ……」

クライブは、私の額に口づけた。
そして、小さく囁いた。

「父さん……」

クライブは、絞り出すように呟いた。

「俺は……クロエが苦しんでいる時、側にいてやれなかった。」

その声には、悔恨がにじんでいた。

握りしめた拳が震えているのを、お父様は黙って見つめていた。
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