売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
朝の光が、薄いカーテン越しに差し込んでいた。

私は静かに目を開けた。

天井が見える。呼吸ができる。

あんなに苦しかった胸が、嘘のように楽になっていた。

「……生きてる……」

額に手を当てると、熱は引いていた。

嘘みたいに、体が軽い。

隣を見ると、クライブがベッドの端に突っ伏して、寝息を立てている。

目の下にはうっすらと影が浮かんでいた。きっと、夜通し私を看病していたのだ。

私はそっと体を起こし、布団から抜け出した。

その気配に気づいたのか、クライブが目を覚ます。

「……クラディア?」

掠れた声が、私の名を呼ぶ。

私は微笑みかけた。

「おはよう、クライブ。」

その瞬間、クライブは目を大きく見開き、顔を覆った。
肩が震えている。

「……ああ、神様……ありがとうございます……」

震える声で祈る彼に、私は両腕を回した。

力なくではなく、しっかりと、抱きしめる。
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