売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
今度のキスは、さっきの“演技”とはまるで違った。

唇が触れ合い、ゆっくりと熱を帯びていく。

私の唇を優しく吸い、舌先でなぞりながら──まるで、確かめるように、抱くように。

「……ん……」

私は目を閉じて、彼に身を預けた。

ああ、私はもう……この人のものなんだ。

そう、思った。心から。

豪奢な馬車が門をくぐると、目の前には信じられないほど大きな屋敷が広がっていた。

これが、公爵家──オーセント家の本邸。

連れて来られた私を、クライブは何も言わず、私室へと案内した。

「風呂に入れ。……その身体じゃ、眠ることもできないだろう。」

そう言って案内されたのは、広々とした白いタイル張りの浴室。

まるで宮殿のように美しい空間だった。

湯船は深く、豊かに湯気が立ちのぼっている。

私は戸惑いながら服を脱ぎ、クライブと共に湯の中に入った。

──裸のまま、二人。
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