売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
緊張で固まりそうになる私を、クライブの手がそっと包んだ。

「動くな。……汚れてるからな。」

そう言って、クライブは濡れたタオルを取り、私の肩から腕、背中、脚へと丁寧に撫でていく。

その仕草は、驚くほど優しく、まるで壊れ物でも扱うかのようだった。

「まさか……お前がヴァージンだったなんて、夢にも思わなかったよ。」

低い声が、静かに響く。

私はその言葉に目を見開いた。

彼の横顔は穏やかで、どこか困ったようにも見えた。

「……ああいうオークションに出される女の多くは、没落した令嬢だ。すでに“男を知ってる”者ばかりだと……そう思ってた。」

──没落令嬢。

その言葉が、胸の奥に突き刺さる。

思い知らされた。

私は“見られている”のだ。過去を、身分を、すべて。

悔しさではなく、ただ、哀しかった。

私は静かに口を開いた。

「……いいんです。あなたに……買ってもらったんだから。」
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