売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
声が震えていた。

一度でも“汚れた女”は、正統な婚姻の相手になれない。

そんな社交界の冷たい現実を、私は知っていた。

けれど次の瞬間、クライブの腕が私を強く引き寄せた。

「──違う。お前は“ただの男”を知ったんじゃない。」

熱を帯びた声が、耳元で低く響く。

「クラディア……お前が知ったのは、“俺”だ。」

その目は、まるで私のすべてを肯定するように、穏やかで、そしてどこまでも深かった。

「他の男となんて、絶対に結婚させない。」

言葉の端々に滲む狂おしさ。

クライブの唇が私のものを奪うように重なった。

それはまるで、傷口に染み込む熱。

痛みさえ癒していくような、深く激しいキスだった。

「──俺の元で、生きろ。ずっと、俺のそばで暮らせ」

その言葉は、命令のようでいて、祈りにも似ていた。

私は何も言わず、そっと両腕を回し、クライブを抱きしめた。

その身体は熱く、硬く、そしてどこか怯えるように震えていた。
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