売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「……クラディアは、俺の子供を産むのが嫌か?」

その言葉に、私はまた涙が滲んだ。

「わからない……」

だって──
私が誰かに“愛された”と感じたのは、昨夜が初めてだったから。

それが本当の愛なのか、ただの慰めだったのか、まだ何もわからない。

なのに、命を育むなんて──重すぎる。怖すぎる。

「……無理しなくていい。」

クライブの声は、静かだった。

優しさでも慰めでもない。

ただ、私の心を押しつけず、受け止めようとする、真っ直ぐな声だった。

私は泣きながら、小さく頷いた。

クライブがそっと私の身体を抱き寄せたとき、その腕の温もりだけが、ひどく安心できた。

朝の光がダイニングに差し込んでいた。

白いクロスの上に整然と並べられた食器。

香ばしいパン、温かなスープ、鮮やかな野菜とハムエッグ。
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