売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「この子供も、愛の結晶なんだと。あの時……もっと早く、それに気づいていれば──って、思ったよ。」

私は、静かに頷いた。

するとクライブは、私の手を優しく取って、その上に自分の手を重ねてきた。

「クラディア……」

名前を呼ばれた瞬間、胸の奥がかすかに震えた。

「君と……もし本当に、心から愛し合った先に、子供ができたのなら──その時、君は……俺の子供を、産んでくれるか?」

問いかけは、まるで未来を問うような声音だった。

私は目を伏せて、小さく「……はい」と頷いた。

言葉にすると、何かが決定的に変わってしまいそうで、それでもこの手の温もりが、今はただ愛おしかった。

クライブが出かけてしまった後、私はぽつんと広すぎる部屋に取り残された。

「……暇ね。」

窓から差し込む陽の光も、豪奢な調度も、どこかよそよそしい。

こういう時にでも、話し相手の侍女の一人でもいれば──

ふと、そんなことを思ってしまった。

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