売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
扉が閉まった後の部屋には、ぽつんと取り残された私。

「……カーティスという男は……どこまで人を、道具だと思えば気が済むの……?」

ぽつりと漏れた言葉が、やけに冷たい空気に吸い込まれていく。

人の心を持つはずの女たちに、口すら与えない世界。

まるで言葉を持たない方が都合がいいかのように、従順で無機質な侍女たち。

この屋敷は、支配と所有の世界でしかない。

私もその“所有物”の一つに過ぎない──

昨夜、クライブに抱かれた身体が、そう囁いてくる気がした。

夜になって、ようやくクライブが帰ってきた。

「お帰りなさいませ。」

広間には、使用人や侍女がずらりと並んでいた。だが――誰一人、微笑まない。誰一人、クライブに言葉をかけようとしない。

ただ一礼して、まるで機械のようにすっと左右に散っていく。

……気味が悪い。

彼らは生きた人間のはずなのに。

どうしてあんなに無機質なの? 心がないように見える。
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