売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「……っ、ん……ぁ……」

声にならない声が、喉の奥で震えていた。

道具でしかない。

そう思えば思うほど、どこか遠くで冷めた自分が見えてしまう。

クライブの動きが空しく感じ始めた、その時だった。

彼はふと動きを止め、そっと私にキスを落とす。

「クラディア……君の心がどこかにいってるのが分かる。だから、無理はしなくていい。」

その低く甘い声が、耳に溶けていく。

「感じてごらん。俺じゃなくていい。ただ、自分の心に素直になって。」

胸がぎゅっと締めつけられる。

こんなに優しくされたら、もう自分の殻を保てない。

「快感に抗わなくていい。乱れても、恥じることなんかないんだよ。君が悦んでくれることが……俺にとっての悦びなんだから。」

その言葉と共に、彼は私を見つめる瞳を強くする。

私はもう、装えなかった。

「……ああ……クライブ……いいの……あなたが……好き……」

彼の表情がやわらぎ、私の髪をそっと撫でた。
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