売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
そして私は、朝日を浴びながら思った。

この屋敷で私に与えられた務めを、果たそうと。

毎晩、クライブの愛を受け入れること。

彼の側にいること。

そして――彼の子供を産むこと。

それが私の使命。

それが、私という存在の“価値”。

そんな風に、思い込もうとしていた。

ナイトウェアを用意してくれる侍女に、勇気を出して尋ねた。

「もっと、大人に見えるナイトウェアはある?」

侍女は少し目を丸くしたが、やがて微笑み、どこかから一着のナイトウェアを持ってきた。

胸元が大きく開き、柔らかな生地が肌を優しく包み込む――まるで女の魅力を引き出すための衣だった。

「ありがとう。」

そう言って、私はそのナイトウェアに袖を通した。

鏡に映った自分の姿は、少しだけ、誰かを“誘う”ような雰囲気をまとっていて。

(……これで、いいのよね)

私は寝室のドアをそっと開けた。

ベッドに腰を下ろしていたクライブは、手にしていた本を読むのをやめ、ふとこちらを見た。
< 57 / 158 >

この作品をシェア

pagetop