売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
その視線が、私の体をなぞる。

ほんの一瞬、目を見開いたあと――クライブの喉が、わずかに上下した。

「クラディア……」

その名前を呼ぶ声は、どこか熱を含んでいた。

私は、そっと彼の隣に腰を下ろした。

これは愛じゃない。

でも、せめて“必要とされる女”になりたかった。

クライブは、ゆっくりと私のナイトウェアに指をかけた。

薄い布が肩を滑り落ち、胸元を露わにする。

その視線が熱を帯びていくのが分かる。

「……なんだか今日は、君に誘われてる気がするな。」

その言葉とともに、彼の手が私の胸元に触れた。

指先がそっと肌に滑り込むと、私はかすかに息を呑む。

「誘ってるのよ。」

強がるように、そう答えた。

「今日は、俺を欲しい日なのかい?」

そう言って、クライブは身を起こし、唇を重ねてきた。

最初は軽く、様子をうかがうようなキス。

けれどすぐに、深く、甘く、私の内側を溶かしていく。
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