売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
やっぱり、疑っている。ものすごく。

「そ、それは……いま読みかけなの。中途半端なところで見られるの、あまり好きじゃないの」

「ふぅん……」

クライブは眉をひそめ、じっとこちらを見てくる。

その瞳の奥にある探るような光に、息が詰まりそうだった。

「まるで──秘密でもあるみたいだな。」

私の背中を一筋の汗が伝う。

お願い。気づかないで。

この刺繍は、あなたのために。

でもそれを、いまはまだ言えないの──。

その時だった。

扉をノックする音と共に、使用人が部屋に姿を現した。

「クライブ様。至急の対応をお願いしたいという手紙が届いております」

「……至急?」

クライブは訝しげに眉をひそめながら立ち上がり、手紙を受け取る。

封を切り、中身に目を通すや否や、その瞳の色がすっと変わった。

「クラディア。すまない、今から執務室にこもらなければならない。」

立ち上がると、すでに彼の顔は“領主”としての真剣なものに戻っていた。
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