売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
実際にはあと三か所も残っているのに、まるで完成品を見られたような恥ずかしさで胸がいっぱいになる。

「いいね。出来上がったら、一緒に使おうか。」

そう言って、クライブはにっこりと笑った。

……なんて無邪気なのだろう。

私が、どれほどの想いでこの薔薇を刺していたのか。気づいてくれてもいいのに。

「……あなたの為に縫っているのよ。」

ぽつりと、本音がこぼれた。

するとクライブは、少し驚いたように目を丸くした。

「……俺の為に? どうして?」

──やっぱり、気づいていなかったのだ。

彼の問いに、胸の奥がつんと痛んだ。

「もういい。」

私はそっけなく言うと、ベッドカバーをそっと畳みなおした。

クライブの視線を避けるようにして、それを棚の中に戻す。

ほんの少し、期待してしまった。

「そういえばクロエも、結婚したときに実家から持って来たベッドカバーに、こう言ってたな。『あなたの為に刺繍したのよ』って。嫁入り道具だって。」
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