売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
私は思わず、ベッドから身を起こして、立ち上がろうとした。

ここにいたら、これ以上涙をこらえられない。

でも、その腕が、強く私の手首を掴んで引き留めた。

「クラディア。」

その低く、切実な声に、私は動けなくなる。

クライブが、真剣な眼差しでこちらを見ていた。

「俺と……結婚するか?」

時が止まったように感じた。

その言葉は、私がずっと夢見ていたはずの言葉。

でも、現実になることはないと思っていた、遠い願い。

「……本気で言ってるの?」

そう問うと、クライブは頷いた。

「君が刺してくれた薔薇を、ただの模様にしたくない。あれは、君の気持ちだろう? だったら、俺がその気持ちに応えたい。」

私は、胸に手を当てた。

高鳴る鼓動が、答えを教えてくれていた。

「できない……くせに……」

私の声は、震えていた。

クライブは黙って、私を抱き寄せた。
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