売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「……クラディア?」

その一瞬の沈黙。

彼の瞳が、まるで記憶の中を探るように私を値踏みしてくる。

「どこかで聞いた名だと思ったが……ああ、クライブの手紙にあった人か。」

そう言ったセドリックは、私を品定めするように上から下まで見た。

「なるほどね。」

その一言に、冷たいものが背筋を這った。

「セドリック、今は……事情が違うんだ。」

クライブの声には明らかな牽制が含まれていたが、セドリックは肩をすくめただけだった。

「何が?お金で買った女に違いないだろう。」

その言葉は、ナイフのように私の胸に突き刺さった。

そう――クライブは、この男にならそれを話せる。話してしまえる相手。

「確かに、美しい。それに……まだ若いんだろう?」

「……ああ。二十歳だ。」

クライブが答えたその瞬間、セドリックは声を弾ませた。

「ほぉう! 二十歳とは、初々しい。そりゃ君が心を奪われるのも無理はないな。」
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