売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
客人を私室に――ましてや、この男を――招き入れてよいものか、躊躇がよぎる。

だが、彼はふっと笑った。

「僕はクライブの親友だよ? 彼が君を買ったこと、最初に打ち明けた相手なんだ。」

その言葉に、思わず唇を噛む。お金で買われた自分。

忘れたくても消えない出自。

だが、確かにこの男は、その始まりを知っている。

「……では、こちらへ。」

私は慎重に頷き、自室へと彼を通した。

セドリックが部屋を見回す。

薄紅のカーテンが揺れる、静かな私の空間。

彼の視線が、椅子の上に置かれた布に留まった。

「それは?」

「ああ……ベッドカバーです。」

私は静かに答え、急いで布を畳んだ。

淡いアイボリーの地に、赤い薔薇が一輪咲いている。

それは、クライブとの暮らしを思い描きながら刺した、私の夢そのものだった。

「へえ。君が刺したのか?」

「はい。」

「ずいぶん手が込んでいる。……クライブの寝台を飾るにしては、少々、妻気取りでは?」
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