売られた令嬢、冷たい旦那様に溺愛されてます
「ほぉ……意外と、いいモノを持ってるんだな。クライブが夢中になるのも分かるよ。」

吐息が頬をかすめた瞬間、私は目を閉じた。

(誰か……お願い、助けて……クライブ……!)

――バンッ!

鋭い音が部屋に響き、セドリックの体が突然私から引き剝がされた。

「何をしているんだ、セドリック!」

聞き慣れた、けれど怒気を含んだ声。

目を開けると、クライブがそこにいた。凍りついたような瞳で、セドリックを睨みつけている。

「ク、クライブ……これは……」

「黙れ。」

ビンタが空気を裂いた。セドリックの頬が赤く染まり、彼は口を押さえながら目を見開く。

「クラディアに何をした。」

低く、静かに、だが明らかな怒りが込められた声だった。

私は震える体を抱きしめるように腕を交差させた。

「クライブ……」

名前を呼ぶと、彼が私のもとへ駆け寄り、そっと肩を抱いた。
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