喜びをあなたと一緒に
「今日はどこに行くの?」
サンドイッチを食べ終えて、カフェラテを飲んでいると、聡真さんが話しかけてくれた。
「今日は、アートギャラリーに行こうと思って。気になっているところが、昨日の美術館の近くにあるんです。」
「へえ。君は美術品が好きなの?」
「うーん。好きだけど、好きだから観に行くわけじゃないんです。美術品を見ていたら、自分のやりたいことが見つかるんじゃないかと思って、そのために観に行くんです。」

聡真さんになら話してもいい。
出会って2日だが、そのぐらい聡真さんのことを信頼していた。
それに、カフェを開いているということは、聡真さんは自分がやりたいことを見つけた人なんじゃないか。そんな人に自分のことを話したら、何か分かることがあるかもしれないという思いもあった。
人生の先輩に教えを請うような、そんな気持ちだった。

「そっか。イラストレーターの仕事は好きじゃなかったの?」
「慣れてきたらそれなりにやりがいは感じていましたけど、好きっていうのとは違ったと思います。」

やりがいをもって仕事が出来ていたときのこと。
方針が変わったことに葛藤を抱きながらも試行錯誤したけれど、うまくいかなくって最終的に絵のアイデアが浮かばなくなってしまったこと。
退職したこと。
全てを聡真さんに話した。
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