小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第21話 皇帝と皇后の確執(3/6)






 メイレンはかつて、女に生まれたことを呪っていた。
 正室の第一子でありながら、男でないために家族からは落胆されていた。それでも、弟たちと同じように武術を磨き、馬術も覚えた。
 だが、11歳になった弟たちに、初めて力で負けた。3人目の弟――7歳のジュンにも、あっさり敗れた。
 メイレンは、屈辱と焦燥にまみれた。
(なぜ私は男では無いのだ――!!)

 そんなある日、メイレンは父――ラン・リーハイに同行して、初めて宮中を訪れた。
 そこで、運命が変わった。

「まことに、端正なご容貌《ようぼう》。
お育ちもよろしゅうございますな」
 女官長にそう言われたのだ。

 そのとき初めて、メイレンは自分の容姿が優れていることを自覚したのだ。その日から、彼女の呪いは希望になった。

 メイレンはその後、自らの意志で皇太子の側室として入宮した。

 父のリーハイは、皇族との政略結婚には難色を示していた。だが、メイレンの台頭を見て気が変わった。
 いずれラン家が国の実権を握る――と。

 やがて子を宿すと、メイレンの心は喜びにあふれた。
(腹の中にいるのは、私の剣だ。
――女でなければ、ここまで登れなかった)
 メイレンにとっては、自分の顔も腹も――この国を獲るための武器に過ぎなかった。

 だが、しばらくしてから、同じ側室のユン夫人も懐妊した。

 メイレンは皇太子妃の座をもぎ取るために、父に命じてユン家を粛清《しゅくせい※》させた。 [政敵などを、処刑などで排除すること]

 その衝撃でユン夫人は流産し、やがて自死した。

 メイレンはその知らせを聞いて、鼻で笑った。
(武家出身の女なのに、もろいものよ……。
私だったら眉一つ動かさず、粛清目録に敵の名を足すというのに)

 事件から数ヶ月後、メイレンに陣痛が来た。出産の痛みも苦しみも、メイレンには喜びにしか感じられなかった。
(剣よ、早く来るのだ……我が元へ!)
 産婆から「皇子にございます」と言われた瞬間、メイレンは高笑いをした。勝利宣言されたも同然だからだ。

 その異様さに、女官も産婆も固まっていた。

 その後、メイレンは皇子を産んだ功績もあって、皇太子妃に任命された。

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