小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第21話 愛しい幻(2/6)


 シャオレイは、湯に浮かぶ花びらを何気なくいじっていたが、何か言いたげなミアルの視線に気づいた。
「どうしたの?」

「実は……姫様が刺客と交わったかどうかをさりげなく聞き出すようにと、チャオ内侍から――」

 シャオレイの胸の奥が冷たくなる。
「私が助かったのは、刺客に体を差し出したからだとお考えなのね。
……陛下は」

「チャオ内侍の独断かもしれませんから……」

 シャオレイは、ふっと苦笑いした。
「誰だってそう考えるわ。女が男に捕まったら、どうなるかなんて。
――少なくとも月のものが来るまでは、夜伽は無いわね。
もし私が身ごもったら、刺客の子か陛下の子か、みんなには分からないもの」

 もちろん、シャオレイと刺客――フェイリンの間には何もなかったが、証明できない。

 シャオレイの心は沈んだが、紫微殿《しびでん》でかけられたゼフォンの言葉を思い出す。

『そなたが無事で何よりだ。もう二度と離さぬ』
『カナリアは予の物だ。しかと心に刻んでおくのだぞ』
『そなたは何も恐れなくてよい。予がついている』

 シャオレイはそれを噛みしめていた。
(私たちはただの夫婦じゃないわ。
この程度でくじけてたら、ゼフォンを守れない)

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