小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第22話 愛しい幻(4/6)
◆
数日後、シャオレイは護衛されながら、馬車で城下へ向かっていた。
刺客にさらわれたばかりだったが、ゼフォンは彼女の外出を許した。宮廷楽師を輩出する、ヤン家との関係を考慮したからだ。
だが、それだけではない。ヤン当主の亡き側室とシャオレイとの境遇が似ているからこそ、ゼフォンも同情したのだ。
シャオレイを乗せた馬車は、ヤン家についた。
ミアルに手を貸されて馬車から降りたシャオレイは、あでやかさを抑えた衣に身を包んでいた。清らかな香りが、あたりにふわりと漂う。
馬車の警備の中には、兵になりすましたフェイリンが紛れていた。
フェイリンは、さりげなくシャオレイに視線を送った。ほのかに期待していたのだ。――シャオレイがフェイリンを見つけて、この前のようにまた笑ってくれるのではないかと。
だが、シャオレイはまったく気づかずに通り過ぎた。披露する歌のことで、頭がいっぱいだったからだ。
代わりに、シャオレイの横にいたミアルがフェイリンと目が合った。ミアルは一瞬目を丸くしたが、すぐに前を向き直した。
(シャオレイにとって、俺はその程度の存在なのか……?
――いや、シャオレイはただにぶいだけだ。
前もそうだったじゃないか)
ヤン家の家令《かれい※》が、シャオレイの応対をした。シャオレイは、家令と優雅に挨拶を交わす。 [※家の事務・会計・使用人を監督する者]
フェイリンは、ヤン家の使用人の男たちが、シャオレイをうっとりと見ていることに気づいた。即座に小さな石つぶてを、使用人の男たちへ弾き飛ばした。
「痛っ!」
使用人の男たちは驚いたように辺りを見回したが、何が起こったのかわからないままだった。
フェイリンは、そんな様子を冷めた目で見ていた。
(不躾なやつらめ……。義妹《いもうと》を凝視するとは)
だが、ふとフェイリンに疑問が湧いた。
シャオレイは、男の視線に慣れている。村の前でならず者たちに絡まれたときも、フェイリンに対しても――シャオレイの態度は変わらない。
(俺もやつらと同じなのか……?
――いや、俺はシャオレイの義兄だ。他の男とは違う)
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数日後、シャオレイは護衛されながら、馬車で城下へ向かっていた。
刺客にさらわれたばかりだったが、ゼフォンは彼女の外出を許した。宮廷楽師を輩出する、ヤン家との関係を考慮したからだ。
だが、それだけではない。ヤン当主の亡き側室とシャオレイとの境遇が似ているからこそ、ゼフォンも同情したのだ。
シャオレイを乗せた馬車は、ヤン家についた。
ミアルに手を貸されて馬車から降りたシャオレイは、あでやかさを抑えた衣に身を包んでいた。清らかな香りが、あたりにふわりと漂う。
馬車の警備の中には、兵になりすましたフェイリンが紛れていた。
フェイリンは、さりげなくシャオレイに視線を送った。ほのかに期待していたのだ。――シャオレイがフェイリンを見つけて、この前のようにまた笑ってくれるのではないかと。
だが、シャオレイはまったく気づかずに通り過ぎた。披露する歌のことで、頭がいっぱいだったからだ。
代わりに、シャオレイの横にいたミアルがフェイリンと目が合った。ミアルは一瞬目を丸くしたが、すぐに前を向き直した。
(シャオレイにとって、俺はその程度の存在なのか……?
――いや、シャオレイはただにぶいだけだ。
前もそうだったじゃないか)
ヤン家の家令《かれい※》が、シャオレイの応対をした。シャオレイは、家令と優雅に挨拶を交わす。 [※家の事務・会計・使用人を監督する者]
フェイリンは、ヤン家の使用人の男たちが、シャオレイをうっとりと見ていることに気づいた。即座に小さな石つぶてを、使用人の男たちへ弾き飛ばした。
「痛っ!」
使用人の男たちは驚いたように辺りを見回したが、何が起こったのかわからないままだった。
フェイリンは、そんな様子を冷めた目で見ていた。
(不躾なやつらめ……。義妹《いもうと》を凝視するとは)
だが、ふとフェイリンに疑問が湧いた。
シャオレイは、男の視線に慣れている。村の前でならず者たちに絡まれたときも、フェイリンに対しても――シャオレイの態度は変わらない。
(俺もやつらと同じなのか……?
――いや、俺はシャオレイの義兄だ。他の男とは違う)