小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第22話 愛しい幻(6/6)
◆
その日からしばらくして、ヤン当主は帰らぬ人となった。
彼の葬儀を終えたあと、ヤン公子《こうし》が、新たなヤン当主の座を継いだ。
ヤン当主が家族を集め、遺言書を開くと、そこには驚くべき言葉が記されていた。
”カナリア姫を、ヤン家の養女とすること”
前当主の正室――ヤン大夫人は、困惑した声を漏らした。
「なぜ、こんなことを……?」
ヤン当主は、遺言書を見つめたまま答えた。
「父上は、カナリア姫に亡き側室の面影を見たのだろう」
前当主には、身分が低いために正室にできなかった女性――ミャオランがいた。
そして、シャオレイもまた、低い身分ゆえに妃にはなれない。
だからこそ前当主は、ミャオランへの罪滅ぼしも兼ねて、シャオレイに高い身分を与えて妃にしてやりたかったのだ。
「でも……彼女は青楼の出身でしょう?」
ヤン夫人が賛成しかねると、当主は肩をすくめた。
「だが、陛下はそんな彼女を寵愛している。
彼女が七夕の宴で才女として認められた今、出自を持ち出すのは得策ではない。
――父上の望み通りにしてあげよう」
ヤン当主には、思惑があった。
皇帝の寵姫であるシャオレイを養女に迎えれば、ヤン家の宮廷における影響力は増す。その上、シャオレイが皇帝の子を宿せば、ヤン家は外戚《がいせき※》となる。 [※母方の親族]
新たな当主は、宮廷楽師に収まっているだけでは、とうてい満足できなかったのだ。
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その日からしばらくして、ヤン当主は帰らぬ人となった。
彼の葬儀を終えたあと、ヤン公子《こうし》が、新たなヤン当主の座を継いだ。
ヤン当主が家族を集め、遺言書を開くと、そこには驚くべき言葉が記されていた。
”カナリア姫を、ヤン家の養女とすること”
前当主の正室――ヤン大夫人は、困惑した声を漏らした。
「なぜ、こんなことを……?」
ヤン当主は、遺言書を見つめたまま答えた。
「父上は、カナリア姫に亡き側室の面影を見たのだろう」
前当主には、身分が低いために正室にできなかった女性――ミャオランがいた。
そして、シャオレイもまた、低い身分ゆえに妃にはなれない。
だからこそ前当主は、ミャオランへの罪滅ぼしも兼ねて、シャオレイに高い身分を与えて妃にしてやりたかったのだ。
「でも……彼女は青楼の出身でしょう?」
ヤン夫人が賛成しかねると、当主は肩をすくめた。
「だが、陛下はそんな彼女を寵愛している。
彼女が七夕の宴で才女として認められた今、出自を持ち出すのは得策ではない。
――父上の望み通りにしてあげよう」
ヤン当主には、思惑があった。
皇帝の寵姫であるシャオレイを養女に迎えれば、ヤン家の宮廷における影響力は増す。その上、シャオレイが皇帝の子を宿せば、ヤン家は外戚《がいせき※》となる。 [※母方の親族]
新たな当主は、宮廷楽師に収まっているだけでは、とうてい満足できなかったのだ。