小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第23話 妃になった姫、カラスになった小鳥(2/5)




 シャオレイが妃に昇格したことで、待遇は変わった。

 正式な冊封《さくほう》の儀はまだ先だが、装飾や調度品は妃の格式にふさわしい物に変わった。
 シャオレイが大きな宮への引っ越しを断ったので、元々住んでいた瑶吟堂《ようぎんどう》は、瑶吟宮《ようぎんきゅう》へと改名された。

 朝から続いていた宮の模様替えが、ようやく終わった。
 シャオレイは椅子に座り、ミアルのいれてくれたお茶で喉を潤した。
 メイレンを始めとした他の妃たちから、妃昇格の祝いの品が届けられていた。后妃たちの本心はどうであれ、こうした贈り物があることで、シャオレイは後宮での自分の立場が変わったことを実感した。

「計画はうまくいったようだな」
 突然、冷ややかな声が響いた。
 シャオレイが声のほうを向くと、そこには宦官姿のフェイリンがいた。白かったフェイリンの髪は、漆黒の髪色に染められている。

 シャオレイが喜んで言った。
「兄さん!今までどこに行ってたの?私、妃に昇格したのよ!」

 その瞬間、フェイリンは息をのんだ。
 久々に合わせた目。
 呼びかけられた名。
 シャオレイの笑顔――それが、他でもない自分に向けられているという事実に、胸が焼けるようだった。先日の、シャオレイに気づかれなかった落胆など、どこかへ吹き飛んでいた。
(こいつの目に映るのは、俺だけでいい……)

 だが、フェイリンはそんな喜びをまったく顔に出さない。
 室内を歩き回り、調度品を一つ一つ品定めするように眺める。それからシャオレイをちらりと見て「ふぅん……」と鼻を鳴らした。
「思ったよりは、やるじゃないか」
 それはまるで、出来の悪い弟子をようやく褒めた師匠のようだった。

「なぁに?その言い方」

「ようやく、小鳥がカラスくらいにはなったな」
 その言葉には、ほんのわずかに”感心”の色が混じっていた。

「……もしかして褒めてるの?」

「それ以外に何がある?」

「カラスじゃ、褒められた気がしないのよね。鷹のつもりなんだけど」
 シャオレイは細い指を少し丸めて、獲物をつかむ鷹の爪のように構えた。

「鷹には早い」
 フェイリンは、きっぱりと言い放つ。

 シャオレイは、すまし顔の彼に引っかく仕草をした。
(優しいゼフォンとは大違い……!)

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