小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第24話 罠は蜜の味(3/6)




 五穀豊穣《ごごくほうじょう》と国家安泰を祈るため、ゼフォンと高位の妃たちは寺院を訪れていた。その中には、シャオレイの姿もあった。

 フェイリンもまた、護衛の兵に成りすまして警護についている。義妹《いもうと》を守るのが、義兄《あに》としての務めだと思っているからだ。

 祈祷を終えたシャオレイたちに、客殿《きゃくでん》で茶が振る舞われた。

 だが――シャオレイが茶を口にしてしばらくすると、異変が襲った。全身が熱くなり、息が荒くなる。

 周りの妃たちは、和やかにお喋りをしている。

 異変は、シャオレイだけのようだ。
「少し疲れましたわ……」
 シャオレイはメイレンに断りを入れ、退席した。

 その姿に、シュエン妃と取り巻きたちはほくそ笑んでいた。

 ゼフォンは僧侶と歓談しており、シャオレイには気づかなかった。



 ミアルに付き添われ、シャオレイは僧侶の寝室――禅房へとたどり着いた。
 寝台に腰かけたシャオレイは、荒い息をつきながら、顔を赤らめている。

 ミアルが言った。
「妃様、どうされました?体調が悪いのなら侍医を……」

「いえ、これはたぶん――」

「毒でも盛られたか?」
 フェイリンが突如として現れた。

 ミアルとシャオレイは眉を上げた。

 フェイリンは気にせず、シャオレイへずかずかと近づいた。抵抗しようとするシャオレイに構わず、その額に手を当てる。
「微熱があるな。”予言”は無かったのか?
それに、小鳥はなぜ警告しなかった?」

 フェイリンの指がふれた部分から、しびれるような感覚がシャオレイに広がっていた。

 シャオレイは、弱々しくフェイリンの手を払った。
「さ……触らないで!ミアル、水を……」

 ミアルが慌てて水を取りに行く。

「毒じゃないようだな。心当たりはあるか?」

 フェイリンの問いに、シャオレイは胸を押さえて息も絶え絶えに答えた。
「これは――催淫薬《さいいんやく》だわ」

 フェイリンの動きが止まった。

 シャオレイは、震える唇で続けた。
「青楼時代に、少し試したことがあったの。
でも今回は、かなりの量だわ……。
だから、あなたは近寄らないで……」

 フェイリンの喉が、かすかに動く。

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