小鳥の爪―寵姫は2番目の恋に落ちる―
第2話 運命の出会い
第2話 運命の出会い(1/5)
月が空高く昇っていた。
シャオレイは黒い外套《がいとう》をかぶり、人目を避けながら宮廷の外れの池のそばを駆け抜けていた。
(本当はゼフォンに、ラン家が謀反《むほん※》人だと教えたい。
でも証拠がないのにそんなことをしたら、誤解されてしまうわ。
――ラン家を罠にはめようとしていると。
それにゼフォンだってラン家を警戒していたのに、結局は暗殺されてしまった……) [※皇帝に対する反乱]
突然、シャオレイの耳に遠くの騒ぎが届いた。その目に、炎の色に染まる皇后の宮――華宵宮《かしょうきゅう》の空が映った。
シャオレイが呟く。
「7年5の月16の日……最も高貴なる母[※]の宮へ刃贈られて……」 [※最も高貴なる母=国母=皇后]
(やっぱり”あの人”が来たのかしら――!?)
◆
ボヤが起こった華宵宮には、兵士たちの怒号が飛び交っていた。
「刺客だ!捕らえよ!」
屋根の上を駆け抜けていたのは、黒衣に身を包んだ刺客――フェイリンだった。彼の視界の端で、無数の矢が宙を舞う。
フェイリンは瞬時に宮道《きゅうどう》へ跳び降り、闇の中へと消えていった。
月が空高く昇っていた。
シャオレイは黒い外套《がいとう》をかぶり、人目を避けながら宮廷の外れの池のそばを駆け抜けていた。
(本当はゼフォンに、ラン家が謀反《むほん※》人だと教えたい。
でも証拠がないのにそんなことをしたら、誤解されてしまうわ。
――ラン家を罠にはめようとしていると。
それにゼフォンだってラン家を警戒していたのに、結局は暗殺されてしまった……) [※皇帝に対する反乱]
突然、シャオレイの耳に遠くの騒ぎが届いた。その目に、炎の色に染まる皇后の宮――華宵宮《かしょうきゅう》の空が映った。
シャオレイが呟く。
「7年5の月16の日……最も高貴なる母[※]の宮へ刃贈られて……」 [※最も高貴なる母=国母=皇后]
(やっぱり”あの人”が来たのかしら――!?)
◆
ボヤが起こった華宵宮には、兵士たちの怒号が飛び交っていた。
「刺客だ!捕らえよ!」
屋根の上を駆け抜けていたのは、黒衣に身を包んだ刺客――フェイリンだった。彼の視界の端で、無数の矢が宙を舞う。
フェイリンは瞬時に宮道《きゅうどう》へ跳び降り、闇の中へと消えていった。