小鳥の爪―転生寵姫は2番目の恋に落ちる―
第25話 ついばみたい喉(6/6)






 外は真っ暗になり、部屋にはろうそくがともっている。

 シャオレイはゆっくりとまぶたを開いた。その視界に映ったのは――ゼフォンの姿だった。

「目が覚めたか」
 低く穏やかなゼフォンの声が、シャオレイの耳に心地よく響いた。

 シャオレイの胸がじんわりと温かくなる。
(ずっと、そばにいてくれたのね)

 ゼフォンはシャオレイの肩に手を添え、寝台から起こしてやる。
「まだふらつくか?」

「少しだけ」

 ゼフォンは、自分の体にシャオレイをもたれさせた。ミアルから茶を受け取り、シャオレイの口元へ運ぶ。
「ゆっくり飲むのだぞ……」

 茶がシャオレイの喉を潤した。

 ゼフォンが手巾で、シャオレイの口元をぬぐう。

 ゼフォンに世話をされるのは子供のようで、シャオレイには気恥ずかしかった。だが、心地よいゼフォンの体温が伝わってきて、心地よかった。
(このまま時が止まってくれればいいのに……)

「ずっとそばにいてやりたいが、予は宮中に戻らねばならない。
カナリアはここでゆっくり休むのだぞ。
見張りを増やしたから、案じなくてよい」
 ゼフォンはシャオレイの髪を撫でながら、彼女にそっと口づけた。そして、名残惜しげなまなざしをシャオレイに向けながら、静かに部屋を後にした。

 ゼフォンの姿が見えなくなっても、シャオレイは夢見るように、扉の向こうを見つめ続けていた。

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